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綿矢りささん感想コメント!

3月19日(火)に発売の『千秋 2』を綿矢りささんに読んでいただきました。綿矢りささんが感じた『千秋』の魅力を感想コメントとしていただきました。

感想コメント

気と気のぶつかり合う戦闘シーンを、大自然の雄大さや美しさを比喩に使って華麗に描く本作。主人公沈嶠は、過去の死闘が原因で目が見えにくく、杖をついて歩く。権力争いに血眼になっている周りの人たちに比べると性格も、達観して仙人のように穏やか。しかしひとたび戦闘となると、病弱な様子から一変、鋭い攻撃で敵を打ち負かす。”心がきれいなまま、この乱世で生き残れると思うなよ!”と言わんばかりに、沈嶠を何度も困難に立たせるのは、暴君の晏無師 。愛情の裏返しのようにも見える、この試し行為は、沈嶠にとっては大変迷惑。痛いことばっかりだし、その度吐血してるし。でも沈嶠は沈嶠で晏無師を見捨てない。何か特別な絆で結ばれていそうな二人だが、まだ全貌は明らかになっていない。激しい戦いの末、どちらの生き様が正しいかを、読者の私たちは知ることになるのだろうか。

綿矢りさ(作家)
1984年京都生まれ。2001年『インストール』で文藝賞受賞。早稲田大学在学中の2004年に『蹴りたい背中』で芥川賞受賞。2012年『かわいそうだね?』で大江健三郎賞、2020年には『生のみ生のままで』で島清恋愛文学賞受賞。『勝手にふるえてろ』『ひらいて』『私をくいとめて』など映像化作品も多い。ほかの著書に『憤死』『手のひらの京』『オーラの発表会』『あのころなにしてた?』など。

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